梅雨の合間の晴れ間
南アルプス林道バスが仙流荘から北沢峠までの運行を開始したとのこと
この時期、平日の南アルプス林道バスは始発の時刻が8時と遅め
北沢峠に到着するのは9時
そこから登山を開始して、北沢峠を出発する最終バスの時刻の16時までに下山しなければならないので、行動時間は7時間という制限付きの登山になります
コースタイムでは、登り4時間、下り2時間40分
コースタイム通りに歩いたとしてもなかなかカツカツのタイムスケジュール💦
過去にも何度かこのバスの時間で仙丈ヶ岳まで往復しています
その時も余裕をもって最終バスの出発時刻までには降りてきていたのできっと大丈夫だとは思うのですが、やはり歩き出すまでは大丈夫なんだろうかと不安が付きまといます
万が一、小仙丈ケ岳に到着するまでにかかる時間がコースタイム通りかそれ以上かかってしまった場合は、小仙丈ケ岳までで折り返すというケースも考えておかなければなりません
バスの運行が始まった週の週末はものすごい人出だったようなので、平日ではあっても梅雨の合間の晴れ間だと多少は人が多いのかも、と少し心配していましたが、いざ現地に着いてみるとそんな心配は全くの無用
仙流荘の駐車場に着いたのは朝の7時過ぎでしたが、1番近い駐車場でさえガラガラ
半分以上の空きがありました
その後もぼちぼちと車はやってくるものの、一番近い駐車場がいっぱいになるほどではありませんでした
おそらく一台のバスに全員が乗れそうな人数だったので、のんびりと準備をすることにします
バスの出発の時刻が近づくにつれて少しずつバス乗り場に並ぶ人の列が伸びていきます
8時少し前
バスの出発時刻も近づいてきたので私たちもその列に加わります
ちょうど一台のバスに全員が乗りこめました
人数を数えてみると25人ほど
思ったいたよりも少ない人出です
始発のバスの時間が遅い時期はこんなもんなのかな、という感じです
仙流荘から北沢峠まではバスで約1時間
最後尾に並んでいたので座席は選べるはずもなく、空いていたのは1番後ろの座席のみ
まあまあ揺れる場所ですが仕方ありません
いつものように鋸岳の鹿の窓のアナウンスを聞きながら北沢峠までの道のりをバスに揺られていきます
相変わらず道路の端っこにはたくさんの落石があります
崩れやすい南アルプスならではの景観です
バスが仙流荘を出発してから約1時間後
北沢峠に着きました
標高は約2000メートル
バスから降りると空気がヒンヤリしています
バスを降りたのも最後の方だったので、同じバスに乗り合わせた人たちが一体どの方面に向かったのかわかりませんが、すでに北沢峠にいる人はまばらでした
装備を整え、仙丈ケ岳へ向けてのんびりと登山道を歩き始めます
鳥の囀りを聞きながら南アルプスの森の中を歩いていきます
寝不足なのか、歩いていて少し頭がフワフワした感じが続きます
制限時間付きということでついつい時間に追われている気がして無意識にうちに足早になってしまいそうですが、まだまだ歩き始めたばかり
先は長いので無理をせず、ゆっくりと進んで行くよう心がけます
小屋泊だったであろう何人かの下山者とすれ違いながらどんどん登っていきます
大滝の頭で時間を確認すると、コースタイムより30分ほど早いペース
このペースでいけば余裕を持って仙丈ヶ岳の山頂まで往復できそうなので少し気持ちが楽になりました
六合目を過ぎ森林限界に出ると、すっかり辺りは真っ白なガスに包まれていました
景色が見れないのは残念ですが、日差しが遮られて涼しくなり登りやすくなったことはいいのかな、とプラスに考えて先へと進みます
真っ白なガスの中、小仙丈ケ岳まではただひたすら登っていくのみです
11時過ぎ
小仙丈ケ岳に着きました
出発してからは約2時間
飛ばしているつもりはないですが、なかなかいいペースです
このペースでいけば山頂でのんびりと過ごす時間もとれます
小仙丈ヶ岳から仙丈ケ岳方面を見ると、ガスがかかっているもののカールの一部は見えています
何とか少しでもこのガスが晴れてくれないかな、と心の中で願いながら仙丈ケ岳を目指して進んでいきます
小仙丈ヶ岳から10分ほど歩くと視界が開け、仙丈ヶ岳へと続く稜線がきれいに見えるようになりました
何度見ても見事な大仙丈カールは圧巻です✨
少し急な登りを歩き終えると、行く先に仙丈ヶ岳のピークが見えてきました
ここまで来ればあとは緩やかに登っていったあと、山頂直下の短い急登?を登るだけです
こんなお天気なのでライチョウが出てくるんじゃないかと探しながら歩きましたが、結局、姿は見当たりませんでした
12時ちょうど
無事に仙丈ヶ岳の山頂に着きました
北沢峠からちょうど3時間
コースタイムより約1時間早いようです
時間に余裕もできたので、山頂でのんびりと過ごす時間もあります
とはいっても、残念ながらあたり一面真っ白なガスに覆われてしまっているので眺望はありません
ガスが晴れるのをしばらく待ってみることにします
流れてくるガスの合間にたまに見える藪沢カールを見下ろしながら、ガスが晴れるのを待ちます
しばらくすると、頭上には青空が見えるようになってきました
これは晴れるかも、と期待が膨らみます
が、期待とは裏腹に再びまた辺り一面あっという間に濃いガスが包まれてしまいました
一瞬青空が見えたかと思えばまたすぐ真っ白に
何度も何度もそれを繰り返すだけで、ガスがスッキリと晴れることはありません
30分ほど山頂で粘ってみましたが一向に晴れる気配はないので、小仙丈ヶ岳へ向けてのんびりと下山を始めることにします
遠くの景色は見えないときは近くの景色を楽しむ✨
ということで、登山道沿いに咲いている花々を楽しみながら歩いていきます
カールにはキバナシャクナゲのお花がたくさん咲いています
しばらく歩いて振り返ってみると、仙丈ヶ岳の山頂付近に立ち込めていたガスが晴れて稜線がきれいに見えるようになっていました
山あるある、です
小仙丈ケ岳までの稜線上にはミヤマキンバイやオヤマノエンドウのお花があちらこちらで咲いていました
たまに差し込む太陽の光に照らされるととても色鮮やかで綺麗です✨
辺りを覆っていたガスが少しずつ晴れ、カール内にある仙丈小屋も見えるようになりました
馬の背の稜線も綺麗に見えます
今歩いている小仙丈ヶ岳までの稜線も綺麗に見えるようになりました
その奥にあるはずの甲斐駒ヶ岳まで見えれば文句なし、というところですが、さすがにそんなに都合よくは行きません💦
少しずつ周りの景色も見えるようになってきたので眺望を楽しみながら歩いていると、登山道からは少し離れたハイマツの茂みの中に何やら気になる黒っぽい影を見つけました
岩のようにも見えますが、何かがちょっと違う
よくよく目を凝らして見てみるとどうやらライチョウさんのようです
ほとんど同じ場所から動くことなくじっとしています
ぱっと見は岩のようにしか見えず見過ごしてしまうところでしたが、見つけられてラッキーでした
ライチョウさんとの距離が少し遠かったのが残念ですが、それでも久しぶりライチョウさんに出会えるとテンションが上がります✨
再び小仙丈ケ岳へ向けて歩き始めます
足元にはミネズオウの小さなお花がたくさん咲いていました
登りの時には真っ白で何も見えなかった場所も、下りの時では少しずつガスが晴れて見渡せるようになっていきます
以前歩いた丹渓新道も見えました
少し雪の残る感じがまたいい雰囲気です
残念ながらナンバー1,2,3は分厚い雲の中に隠れていて見えません
もう少しで見えそう、という感じですが、上部にかかっている分厚い雲は手ごわそうでなかなか取れそうにもありません
のんびりとこの時期ならではのお花を楽しみながら降っていくことにします
登りの時には真っ白で何も見えなかったので、帰りにもう一度小仙丈ヶ岳に立ち寄っていくことにします
登りの時よりは青空も多く見られるようになり、なかなかの眺望になってきました✨
欲を言うならば甲斐駒ヶ岳にかかっている雲も取れてくれるといいな、と少しだけ小仙丈ケ岳で雲がとれるのを待ってみましたが、ちょうど山頂の部分にかかっている雲だけがなかなか取れません
まだまだ時間に余裕はありますが、あまりのんびりし過ぎてもこの先何かあったときに時間がカツカツになってしまうので、下山を進めることにします
小仙丈ケ岳から少し下ったところではピンク色のコイワカガミがたくさん咲いていました
ひとつひとつは小さなお花ですが、まとまって咲いているとなかなか見ごたえがあります✨
樹林帯に入ってしまうと、あとはひたすら北沢峠に向けて下っていくだけです
2合目の分岐に差し掛かったところで時刻を確認してみると14時40分過ぎ
頑張れば15時のバスに間に合うかもしれませんが微妙な感じ
15時は諦めて16時のバスでいっか、
ということになり、登りと同じところを歩くのも何だかつまらないので、登りでは通らなかった長衛小屋へ続く道を通って北沢峠へ降りることにします
こっちの道には北岳の展望ポイントがあったはず、と思いそれを楽しみにしながら降っていきます
どんどん降っていきますがなかなか北岳の展望ポイントに着きません
もう少しで車道まで降りてしまう、というところでようやく北岳の展望ポイントに着きました
案の定、ガスがかかっていて北岳の山頂までは見ることができませんでしたが、登りっと違う道を歩くのは新鮮でした
車道に出てから北沢峠までは地味に登り返します💦
北沢峠でテント泊をするであろう人たちとすれ違いながら北沢峠までの道のりを歩いていきます
この最後の登り返しが思っていたよりも長く地味に辛い
バス停に着いたのは15時15分
思いのほか早く着いてしまいました
待ち時間は45分
だんだんと日も傾いて肌寒くなってきました
早くバスが来ないかな、と思いながらの45分
なかなか長い時間に感じました
16時出発の最終バスに乗り込み、無事に下山完了です
梅雨の今の晴れ間
少し雪の残る仙丈ケ岳を満喫できた一日でした