2日目
朝3時
シーンと静まり返っている小屋の中
この時間から起きて準備をしている人はいないようです
ヘッドライトの灯りを頼りに出発の準備に取り掛かりますが、何せ不慣れな小屋泊
手際が悪い💦
物音を立てないように
と気を遣いすぎてしまって、なかなか思うようにはかどりません😱
なんとか終わらせてはみたけれどなんとも微妙なパッキング
こだわってはいられないのでザックを背負い小屋の外へと出ます
10月の標高2000mの朝3時
気温はそれなりの寒さです
ただ昨日の夕方の寒さから考えると、朝の冷え込みはそれほどでもなかったようです
寒いだろうと思って着込んできたものの、いざ歩き出すとだんだん暑くなってきました
頭上ではゴーゴーとものすごい風の音が聞こえてきますが、樹林帯の中は穏やか
高い木々は風に煽られてユラユラと揺れていますが、樹林帯の中はほぼ無風
風がないのでこれまた暑く感じます
しばらくはまだ樹林帯歩きが続くよう
稜線に出ればきっと強風にさらされることとなりますが、稜線まではまだまだかかりそう
しばらくの間は薄着でも大丈夫そうです
着込んできたものを脱いでザックに詰め込み、再び歩き始めます
小屋を出発してから1時間ほど
樹林帯の切れ目までやってきました
穏やかな樹林帯歩きもここまで
この先は遮るもののない稜線
ビュービューと風が吹き荒れています
強風に備えての身支度を整え、いざ稜線へ
ブワッ
と、ものすごい勢いの風を右手の方向から受けます
予想通り、稜線の風は強烈😱
油断したら体が持っていかれそうなほどの強風
風に煽られてバランスを崩さないよう一歩一歩確実に進んでいきます
前に進めないほどの強風が吹きつけてくることも何度か
耐風姿勢をとって風をやり過ごしながら千枚岳の山頂を目指します
真っ暗な中、容赦なく吹き付ける風
本当にこのまま進んでも大丈夫なんだろうか
と、不安な気持ちが沸き起こってきます
途中で引き返すことも頭をよぎりましたが、天気予報ではここまでの風の予報はなかったはず
日が昇れば収まるだろうと信じて先へと進みます
4時半過ぎ
なんとか無事に千枚岳の山頂までやってきました
山頂でも相変わらずものすごい風が吹き荒れています
あたりはまだ真っ暗で周りの景色は何も見えません
長居は無用
と、山頂標識の写真だけを撮って先へと進みます
千枚岳の山頂から先は岩場になります
風は岩峰に遮られて強風を直に受けることはなくなりホッとします
ここからしばらくの間は岩場の連続
片側の斜面が切れ落ちた場所もあり、なかなかの緊張感
真っ暗な中、ヘッドライトに照らされた進行方向だけを見ながら岩場を進んでいきます
暗闇の中に現れた長梯子
ここも慎重に降っていきます
進行方向、暗闇の中にヘッドライトの明かりがひとつ、ポツンと見えます
どうやら先行している方が1人だけいるよう
岩場も無事に通過し終わったようで、登山道は緩やかな登りになりました
振り返るとほんのりと明るくなり始めた東の空に富士山のシルエットが浮かびあがっています
遮るもののない眺め
ここから先はどこからでもご来光が望めそうです👀
日の出の時刻に近づくにつれて刻々と変化する空の色
雲海に浮かぶ富士山
贅沢すぎる景色✨
雲もなく最高のお天気☀️
自分が今見ている景色の完成度が高すぎて、とんでもない景色を見ているんじゃないか
そんな気がしてきました
そう思うと、一瞬たりとも見逃してはいけない
刻々と変わりゆく景色から目を離さないように登っていきます
雲海から少しずつに太陽が出てきました
稜線の風は相変わらず強いまま
でも天気は本当に最高✨
少しだけ風を避けられそうな場所を見つけてそこで日の出を眺めることにします
千枚小屋でもらった朝食のお弁当を取り出して朝ごはんタイム
のんびりとご来光の瞬間を待ちます
周りには人影もなく、一人占めの景色
雲海に浮かぶ富士山と太陽
富士山の距離感と存在感
南アルプスだからこそ見える景色
もう、感動しかありません✨
少し進んでみると朝焼けで稜線がほんのりと赤く染まっています
絶景すぎる✨
太陽が昇り雲海が金色に輝いているかのよう
どこを見ても絶景だらけ
ウラシマツツジが朝焼けでより一層鮮やかに見えます
もう、なんていう1日
なかなか足が先へと進みません
素晴らしすぎる✨
そんな時間がずっと続きます
さっきまで歩いていた丸山付近
草紅葉と朝焼けのコラボレーション✨
もう、ほんとうにどこを見ても絶景✨
稜線の草紅葉
朝陽を浴びてキラキラと輝いています✨
いやもう、ほんとうに次から次へと絶景の連続
太陽が昇り始めてから20分あまりの時間があっという間に過ぎていました
まだ2日目の朝が始まったばかりだというのにもうすでにものすごい満足感
気付けばあんなに強く吹いていた風もすっかり収まっていてすっかり穏やかなお天気に
ここからは絶景の稜線歩きが待っています🎵
日の出とともに幾重にも重なる南アルプス北部の山々までも見渡せるようになりました
富士山とウラシマツツジ
このロケーションも素晴らしすぎる✨
左手の方にはこの後に登る赤石岳も控えています
でっかい⛰
荒川東岳の山頂直下はちょっとした岩場
岩場にウラシマツツジの紅色がよく映えています🍁
岩場を登り終えると、本日二つめのピーク、荒川東岳の山頂に着きました
山頂標識の後ろには青すぎる空❗️
振り返れば雲海に浮かぶ富士山👀
太陽の光で輝いているように見える雲海がもはや神々しく思えてきます✨
西側には影荒川東岳
360度の大展望👀👀👀
正面にはこの日の最後に登る赤石岳がどっしりと聳え立っています
強風で不安に駆られていた数時間前がウソのよう
本当に最高のお天気です☀️
まだまだ先は長いので次のピーク、荒川中岳へ向けて歩きだします
荒川中岳へはまず標高差で約200mほどをいっきに降ります
なかなか急な降り
それに加えて足場もあまりいいとは言えない道が続きます
両サイドは深く切れ落ちた谷
足を滑らせたら大変です😱
慎重に鞍部まで降りきり、ようやくホッと一息
緊張が緩みます
ここから荒川中岳までは緩やかな登り
中岳避難小屋の三角屋根がちょこんと見えてきました
振り返ると今さっき降ってきた荒川東岳の西側の斜面が見えます
荒々しい
荒川中岳までの登りは正面に赤石岳を眺めながらの登り
真っ赤に色付いたウラシマツツジが陽の光を浴びて本当に鮮やかで綺麗✨
霜柱との共演も見られました
なんて素晴らしい眺め✨
どこを見ても本当に絶景ばかり
荒川中岳の山頂付近にある中岳避難小屋はまだまだ小さく見えていてなかなか近づきません
一つ一つの山の大きさを実感しながら登っていきます
緩やかに続いた登りもようやく終わりを迎え、中岳避難小屋の前に出ました
扉を開けて中を見てみると大きなザックが3つ無造作に置いてあります
中に人がいる気配はありません
荒川東岳を過ぎてからすれ違った3人組
そういえばやけに軽装だった
どうやらここに荷物を置いて荒川東岳へと向かったようです
振り返ると荒川東岳と富士山
何度見ても素晴らしすぎるし本当に飽きない👀
中岳避難小屋から少し歩いたところにある荒川中岳の山頂
東側には荒川東岳
西側には荒川前岳
次のピーク、荒川前岳はなだらかなピーク
それほど時間もかからずサクッと短時間で行けそうです
草紅葉とハイマツの緑のコントラストが美しい✨
中岳から前岳への道は見た目通りのなだらかな道
荒川小屋へ降りる分岐がその途中にあるのでそこにザックを置いて荒川前岳を往復します
荒川前岳の西面は崩壊が進んでおり荒々しい感じ
カラカラと落石音も聞こえてきました
表と裏では全く違う山の様相
三伏峠方面から縦走してくる道はなかなか過酷そうです
荒川前岳からの眺めもまた最高✨
ひとつひとつの山が本当に大きい
分岐まで戻り再びザックを背負って荒川小屋へと向かいます
ちょこんと見える荒川小屋
ここもまあまあな標高差を降っていきます
きっと夏はお花畑になるであろう場所
登山道をジグザグに降り標高を下げていきます
ちょうどこの辺りで同じバスに乗り合わせていた方々に追い付かれます
お天気もいいので皆さんご機嫌のご様子
草紅葉も本当に綺麗🍁
カールの中にポツンと佇んでいる荒川小屋
その奥に見える赤石岳
この後あのピークまで歩いていくのかと思うとまだまだ先は長い
反対周りで歩いている方とのすれ違いもありました
2,3人程度と少ない人数ですが、皆さん楽しそう
紅葉の時期ですが、北アルプスや中央アルプスに比べると圧倒的に登山者の数が少ないです
のんびりと山を楽しむにはとてもいいところです✨
分岐から降ること1時間ほど
荒川小屋に着きました
ベンチで休憩しているのは昨日から何度も顔を合わせている方々
わたしたちもベンチの一角を使わせてもらいます
ここには千枚小屋と赤石岳の間の唯一の水場があります
この先もまた稜線歩き
しばらくは水場がありません
水の補給をするならここしかありません
ここから赤石岳まではまだ標高差500mの登りが待っています
手持ちの水では足りないわけでわなさそうですが、念のためもう少しだけ持っておこうと水の補給をしていくことにします
水場の場所は小屋からは少し離れたところ
相方さんが汲みに行ってくれました
他の方々はまだ水場に行ってはいなかったようで、水までどれくらいかかるかを尋ねていました
あまりに遠いようなら行きたくなかったようです
無事に水の補給も終え、各々、時間差で荒川小屋を出発していきます
荒川小屋を出発してすぐは急な登り
その急登もすぐに終わり、目の前が開けます
山腹をトラバースするようにつけられた道
気持ちのいい登山道です✨
なんとも良い眺め✨
草紅葉も色付いていて綺麗🍁
空を見上げると彩雲も見えます🌈
大聖寺平で後ろを振り返ると、今日ここまで歩いてきた道と荒川前岳、中岳、東岳が見渡せます
なだらかに続いていた道もここまで
時刻は11時過ぎ
出発してからすでに8時間が経過
少しずつ疲れも溜まってきています
小赤石岳までの急登が本当に堪える💦
前を歩く人たちも同じような状態なのか、差が開くことも詰まることもなく同じ間隔のままです
急登を登りきり小さなピークに着きました
小赤石岳の肩と呼ばれるピーク
眺めも良いので少し休憩を取ることにします☕️
のんびりと周りの景色を眺めながら写真を撮っていると何か動くものの気配を感じます
素早い動き
オコジョです❗️
岩の隙間から出たら入ったり
逃げるわけでもなく、岩の隙間からこちらの様子を伺っているようです
かわいい
小さな森の住人に癒されるながらの休憩タイム
小ピークから先、小赤石岳までの間は庭園のような雰囲気
緩やかな登山道でのんびりと歩けます
谷筋の草紅葉が綺麗に色付いていてなかなか見応えのある景観✨
少しずつ雲が湧いてきましたが富士山はずーっと見えています
12時30分
小赤石岳に到着です
山頂には千枚小屋で一緒だった方々が勢揃い
皆さん、最後のピークを目の前に休憩中のようでした
目の前にはこの日の最後のピーク、赤石岳がもうすぐそこに見えます
空は薄雲に覆われ始めてきました
昨日今日とここまで、本当にお天気に恵まれていましたが、明日からは少し荒れるお天気になる予報
その前触れか、だんだんと雲が増えて青空が少なくなってきました
昨日からずっと同じコースを歩き続けてきたこのメンバー
ここまで一緒にきたのも何かのご縁、
横断幕を用意してきているので山頂で一緒に写真を撮りましょう、
とお誘いがありました
山頂で待っているからね
と先に赤石岳へと向かって行きます
少し遅れて私たちも出発します
途中に赤石小屋へ降る分岐があるので、そこにザックを置いて最後の登りへと取りつきます
それほど急登ではありませんが、ここまで歩いてきた疲労もあるのか足取りが重い💦
3000mを越える稜線歩き
息があがります
歩くこと30分ほど
とうとうこの日の最後のピーク、赤石岳の山頂にやってきました✨
百名山を達成した方は横断幕の準備中
横断幕を持ってその場に居合わせたメンバーで記念撮影が始まります
百名山達成の瞬間に立ち会えるなんてなかなか貴重な経験
ひとしきり撮影も終わったので、私たちは赤石岳避難小屋まで行ってみることにします
すでに小屋の営業は終わってしまっていますが避難小屋としては開放されているよう
避難小屋方面へと続く道を歩いていきます
避難小屋の近くの小高いピーク
ここにお団子バージョンの山頂標識がありました
年季の入ったこの標識、趣があって好きです
雲海に浮かぶ富士山がまだ見えます
避難小屋近くからの眺めもまた素晴らしい✨
聖岳もかなり近くに見えるようになりました
小屋周辺はなだらかな地形
草紅葉も綺麗✨
この日、何人かの方が避難小屋を利用するようでした
再び赤石岳の山頂まで戻ります
この雄大な眺めともそろそろお別れ
去り難いですが、この後、赤石小屋まではまだ2時間ほど歩かなければなりません
時刻は13時半
10月ともなれば日に日に日没も早くなります
空模様も若干心配になってきたので赤石岳の山頂を後にします
赤石小屋への分岐
ザックを回収して赤石小屋方面へと降り始めます
この降りがまたなかなか大変
大門沢下降点からの降りを彷彿とさせるような急なザレ場の降り
疲れた足にはなかなか堪える急降下
何度か渡渉もしながら標高を下げていきます
谷から湧いてくるガスに辺り一体が覆われていきます
あっという間にあたりはガスに覆われて真っ白になってしまいました
赤石小屋までの道のり
のんびりと降るだけだと思っていたら大間違い
急降下のあとは谷筋に細くつけられた足場の悪いトラバース道
小さなアップダウンも多い💦
降ったかと思えばまた登り返し
なかなか標高が下がらない😱
そんな時間が1時間半ほど続き、何度目の登り返しなんだろうと思いながら樹林帯の登りを登りきると突然目の前が開けました
富士見平という場所
小高いピークになっていて眺めの良い場所のようです
あいにくあたりは真っ白なガスに覆われていて何も見えません
ここから赤石小屋まではあと30分ほど
到着の目星もついてきたので、ここで少しだけ休憩を取ることにします
ザックを下ろしてのんびりしていると、ちょうど辺り一帯を覆っていたガスが晴れてきました
ガスの切れ間から今日歩いた荒川東岳〜中岳、前岳の稜線が見えます✨
振り返ると赤石岳のピークも見えてきました
天気が下り坂なのでもう眺望は期待できないかな
と思っていましたが、最後の最後に今日歩いた山々を見ることができました👀
もう、やり遂げた思いでいっぱいです
が、まだ赤石小屋までの下りがあと30分💦
再びザックを背負い、赤石小屋までの道のりを歩き始めます
16時過ぎ
赤石小屋に到着です
朝から本当によく歩いた💨
まずはテントの受付のために小屋へ向かいます
小屋にはかわいらしい地図
小屋前のテーブルにもかわいい木の置物がありました
ちょうどガスが晴れて赤石岳の姿が見えます
テント場へ向かいます
テント場は小屋から少しだけ降ったところ
それほど広くはない場所です
張ってあるテントは2張りのみ
テント場が混雑してテントが張れないんじゃないか
と出発前に心配していたのは何だったのかというくらいの空き具合
時刻ももう16時を過ぎています
この後から人が来ることはおそらくなさそうです
この日のテント泊は私たちを含めて3張りのみということになりそうです
そして後から聞いた話では、小屋泊した人も赤石岳まで一緒に歩いたメンバーしかいなかったんだとか
今夜からは悪天候の予報
皆さん天気予報を見て予約をキャンセルされたようです
さて、その今夜から荒れ模様だというお天気
雨も結構強く降りそうだとか
となると、テントを張る場所はなるべく水捌けのいい場所を選びたい
少し窪地になっているところは水たまりになりそうなので避けたい
トイレに近すぎるところもできれば避けたいし、窪地になっていなくてなるべくフラットなところ
一箇所しかありませんでした
そこにテントを張って南アルプスでの最後の一夜を過ごすこととします
辺りはまた濃いガスに覆われて眺望はありません
なんだかんだ朝早くから一日中歩き通しだったこの日
疲れも溜まっています
最終日の荷物が少しでも軽くなるように、食べられるものは食べて、早々に休むことにします
どれくらいの時間眠っていたかわかりませんが、ものすごい雨とものすごい風の音で目が覚めます
テントも風に煽られて歪んでいます💦
ゴーゴーという風の音と共にテントを打ちつける激しい雨の音
暴風雨☔️
予報通り大荒れの天気のようです
明日は雨の中の下山となりそうです
朝までに少しでも雨脚が弱まってくれることを願いながら再び眠りにつきます