chiritannyaaの日記

山に登ったときに思ったことを書き連ねる日記

9月15日 薬師峠から薬師岳へ 折立へ下山 DAY3

 

パラパラパラパラ…

 

未明、テントに当たる雨音で目が覚めます

外は雨

悪い方の天気予報が当たったようです

明け方6時くらいまでは雨が降るという予報

強い雨ではないもののパラパラと断続的に雨が降り続いています

 

さて、薬師岳に登るかどうか

迷うところです

登ったとしてもこのお天気

眺望を望める可能性は限りなく低い

薬師岳には登らずこのまま折立へ降るか

そうこう考えている間に少し雨音が小さくなってきました

外を見てみると霧雨のような感じの細かい雨

このくらいの雨ならしっとりとした草紅葉を眺めながら、なんとか薬師岳まで登れそう

そう思えました

雨具に身を包み、予定通り薬師岳を目指すことにします

 

5時過ぎ

薬師峠のテント場を出発

このときには既に雨はほとんど止んでいました

濃いガスが立ち込める中、薬師岳へ向けて登り始めます

薬師峠からしばらくは沢沿いの大きな石がゴロゴロする急登を登ります

沢と登山道が分かれる場所はマーキングを確認しながらルートを外さないように進みます

歩き始めて10分ぐらい

また雨が降ってきました

濡れた岩はいかにも滑りそうな感じ

一歩一歩、足元をしっかりと確認しながら進みます

ゴロゴロとした大岩は段差も大きく、上下レインウェアを着たままでは熱がこもって暑い💦

そんな状態で沢筋の登山道を歩き続けること30分

急に目の前が開け、広い場所に出ました

薬師平に着いたようです

ここからは槍ヶ岳が見えた記憶がありますが、真っ白なガスに覆われて何も見えません

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薬師平の木道を歩き終わるとガレた沢沿いに登っていきます

しっとりと雨に濡れたナナカマド

緑の葉っぱに色鮮やかな紅い実が目立っています

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紅くなったトウヤクリンドウ、クロマメノキは雨のおかげでとっても瑞々しくなっています

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真っ白なガスの中で草紅葉たちが彩りを添えてくれています

 

登山道が尾根へ出ました

尾根に出たとたん、強い風が吹きつけてきます

わかってはいましたが、まあまあな悪天候😱

昨日に引き続いての強風

幸い、雨は霧雨のような感じでほとんど気にならない程度です

 

 

グエッ

 

どこからかライチョウさんの鳴き声が聞こえてきました

そんなに遠くはない場所

その後も何度もライチョウさんの鳴き声が聞こえます

あたり一面真っ白の中、目を凝らして声のする方角を探します

少し離れた尾根の上にライチョウさんの姿を発見しました


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1羽ではなく何羽もいるようです

目を凝らして数を数えてみると、総勢6羽のライチョウさんの姿が確認できました

昨日に引き続きまたまた大家族

この山域には本当にたくさんのライチョウさんが住んでいるようです


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薬師峠を出発してから1時間半ほど

薬師岳山荘までやってきました

こんなお天気だからなのか山荘の周りにはほとんど人の気配がありません

 

山荘を過ぎると風の勢いが今までよりもいちだんと増します

北西からの風

ビューンと勢いよく吹き付けてきます

この先の登山道は九十九折

ジグザグに進んでいきます

風上を背にして歩くときはまだ何とかなりますが、風を正面から受ける向きに変わるとなかなか過酷な状況です

 

ザ、悪天候

 

まさにそんな感じ

ジグザグの瓦礫の道は植物もなく見るものもありません

強風に煽られながらぼんやりと考え始めます

この後、万が一最悪の状況に陥ったときのこと

 

このままさらに風雨が強くなり体が冷えてきたらどうするか

 

防寒着はまだある

もう一段階分厚い手袋もまだある

食糧もあるので何かを食べれば体温の維持はできるはず

アルミシートも持っているのでそれも使える

 

アタックザックに入っているものでひととおりシュミレーション

保温ボトルがあると良かったな

そろそろ保温ボトルも持ってこないと

 

そんなことを考えながらひたすら山頂に向けて登っていきます

薬師岳の山頂に近づくにつれて風はどんどん強くなります

そういえば、前回も残雪期の薬師岳に来た時もこんな爆風だった

そう思い出しながら登っていると、真っ白なガスのなかにライチョウさんらしきシルエットがぼんやりと見えます

岩陰に2羽

さすがにこの風雨の中では寒いのか、岩陰で風を避けているように見えました

 


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近寄ってみると、風に煽られたせいか羽並はボサボサ

岩陰でこの風雨に無心で耐えているように見えます

そんなライチョウさんに心の中でエールを送り、ライチョウさんとはお別れします


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薬師岳直前、最後の稜線歩きはさらに一段と風も強まります

この状態があと一時間以上も続く、

という状況なら撤退も考えますが、山頂まではもうあと数十m、もうすぐそこです

背中で風を受けるように体の向きを斜めにして進みます

 

無事に薬師岳に登頂✨


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山頂の祠は以前来た時とは変わっていて、新しい綺麗なものに変わっていました

祠の陰は風も遮られ穏やか

ホッとします

予想していた通り、眺望は何もありません

薬師岳山荘まではまた吹きさらしの稜線を歩くことになります

風を避けられるこの場所で少しだけ休憩をとることにします

 

しばらくして大きな荷物を背負った男性三人組がやってきました

薬師岳山荘を過ぎた辺りで休憩していた方々です

どうやらこの先、立山方面へ縦走していく様子

この天候の中、大きな荷物で稜線を進んで行くのは大変そう

ガスの中に消えていく3人の後姿を見送ります


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下山用のエネルギーも補給完了

また風雨の中をテント場まで戻ります

薬師岳山荘の少し上のあたりで何人かの登りの方とすれ違いました

皆さんこの先の様子が気になるようで、山頂の様子について聞かれますが、

真っ白です、

という言葉しか言えません💦

その中の一人に、前日黒部五郎岳まで一緒に進んだ、百名山99座目という男性に再びお会いしました

お互い声を掛け合いお別れします

 

薬師岳山荘まで降りてくると、雨はやんで風も少し収まってきました

山荘の前にはツアーの団体さんでごった返しています

どうやら今から山頂へと向かうようです

 

標高を下げたせいか、かなり天候も落ち着いてきました

やっとホッとできるお天気

気持ちも楽になり、のんびりとテント場まで戻ります

天侯も落ち着いてきたためか、登ってくる人もたくさんいます

 

 


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あっという間に薬師平まで降ってきました

上部には分厚い雲がかかっていますが朝よりは少しだけ眺望があります


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9時過ぎ

無事にテント場に戻ってきました

こんなお天気、テントはびしょ濡れのままです

片付けるのもなかなか大変そうですが仕方ありません

またいつ雨が降ってくるかわからないお天気

雨がやんでいるうちに手早く撤収作業を進めていきます

 

無事に撤収作業も終わり、あとは折立まで降るだけ

まずは太郎平小屋へ向けて歩き出します

平日なのに薬師峠に向かって歩いてくる登山者の数が多い

そういえば明日は土曜日

日曜日の次の月曜日は祝日

世間一般では明日からシルバーウィークです

前倒して1日前から休みをとっている人が多いのか、薬師峠から太郎平小屋までの短い区間でもたくさんの登山者とすれ違います

この3日間で一番の人出

その中に、おそらく著名なトレイルランナーであろう方ともすれ違いました

颯爽と軽快に走り抜けて行く姿

只者ではないオーラが溢れ出ていました

 

雨は止んだものの相変わらず上空には分厚い雲が立ち込めていて高い山々を見渡すことはできません

心なしか2日前よりも草紅葉や木々の色付きが進んだような気がします

草紅葉の色付きが本当に綺麗✨

 


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11時少し前

太郎平小屋までやってきました

 

小屋前には今日登ってきた人たちの姿がたくさん

賑わっています

朝から歩き通しだったので、お腹も空いています

下山前に少しでも荷物を軽くしたいという思いもあり、小屋前のベンチで昼食をとることにします

その間も折立方面からは続々と太郎平小屋に人がやってきます

いつも平日の人の少なさしか知らない私たち

続々とやってくる人に多さにびっくりです

そして、いろんな人がいて面白い

見ているだけで飽きません

 

小屋前も混雑し始めてきたので、折立に向けて再び歩き始めることにします

太郎平から折立方面を見下ろすとまだまだたくさんの登ってくる人の姿が見えます

本当にもの凄くたくさんの人

テント泊の人が多いのか、大きな荷物を背負っている人が多い

きっとテント場はかなりの混雑になるんだろうな、

と思ってしまうほど

太郎平小屋を出発してから30分くらいは本当にひっきりなしに人とのすれ違いがありました

その後もまだまだ登ってくる人とすれ違います

恐るべし、シルバーウィーク


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三角点まで降ると朝から立ち込めてい分厚い雲も少し晴れきました

青空も見えます

青空が見えるようになると、今度は刺すような日差しが照りつけてきます💦 

山の上の方ではまだ風があるのか雲の動きは早い

少し待ってみると、ちょうどガスが晴れ薬師岳の山頂部が姿を現してくれました

またすぐに雲の中に入って見えなくなってしまいましたが、最後に薬師岳の姿を見ることができて満足です

あとは折立まで降るのみです

 

樹林帯に入ってからはなかなかの急降下

毎度同じことを思いますが、

こんなに急な登りを登ってきたんだっけ?

と思ってしまいます

三角点を過ぎてからはずっと急な下りが続いているように感じます

登りの時は急だと思わなかったのが本当に不思議

 

じわりじわりとテント泊の荷物の重さが足にき始めました

途中でストックを使えば良かったのに、出すのが面倒だという理由で使わず💦

これが失敗

だんだんと足裏と膝が痛くなってきました

 

 

13時過ぎ

かなり下まで降ってきました

この時間でもまだ登ってくる人の姿がちらほら見られます

標高も下がり蒸し暑さを感じるようになってきました

登りの人は皆さん汗だくです

つい数時間前までは、寒さと強風に耐えていたというのに今は汗ばむほどの気温

この状況の違い

山って面白い

そんなことを考えながら歩いていると、下界の音、ダンプの走行音が聞こえるようになってきました

折立まではもうすぐです

木々の間からは駐車場が見えました

ほどなくして薬師岳の登山口に戻ってきました

無事に下山です

 

ふー、長かった

今回はそんな感じです

 

駐車場に着くとすっかりいいお天気

じりじりと日差しが照り付けてきます

この日差しなら濡れたテントもすぐ乾きそう

家に帰ってからまたテントを広げるのは大変

ここで乾かしていくことにします

ちょうどいい感じに風もソヨソヨと吹いています

テントを広げ、水滴を飛ばしながら風にさらします

あっという間にテントはサラサラ

綺麗に乾きました

 

 

2泊3日のテント泊

充実した3日間を過ごせました