chiritannyaaの日記

山に登ったときに思ったことを書き連ねる日記

10月11日 北岳 DAY1

10月にとった3連休

今回、ようやく南アルプスの天侯が3日間とも安定しそうな天気予報

とうとう去年から行きたかった聖岳、光岳の周回登山に挑戦できるチャンスがやってきました

 

登山に向けて詳細な行程のプランニングをします

易老渡を起点として時計回りに周回するか、それとも反時計回りに周回するか

どちらが歩きやすいんだろう?

どちらのルートで歩くにしても距離と標高差はなかなかのものなので大変なことには変わりありませんが、悩んでも悩んでも明確な決め手はなく全然決まりません

相方さんの意見も聞いてみようと思いプランを説明してみると、予想外の返答

 

3日間毎日毎日そんなに長時間歩く自信ないよ

 

確かに、登山の前日は夜までみっちり仕事が入っている

登山口までの移動時間を考えると登山の前日はほぼ寝る時間がとれないのは明白

その状態で3日間毎日長時間歩き続けるのはしんどいんじゃないか、とのご意見でした

 

なるほど、言われてみれば確かにそうかも😱

このプランはもう少し前後の日程に余裕を持って臨まないとキビしそうです

そんなわけで今回はパスすることに

 

それじゃあ、もう少し行程的に余裕を持って歩けるプラン

別で、もう一つ候補として考えていたのが、同じ南アルプスのエリアで北岳間ノ岳農鳥岳を縦走するプランです

広河原から北岳に登り、白峰三山を縦走して奈良田に下りてくるという周回コース

このコースはバスをうまく使えばマイカーでも縦走登山ができます

このプランで最後まで悩んだのは、芦安の駐車場に車を停めて登るか、奈良田の駐車場に車を停めるか、といかうことです

北岳登るほとんどの人が利用するのは芦安の駐車場です

芦安の駐車場から北岳の登山口にあたる広河原までは奈良田からよりはたくさんの本数のバスが出ています

ただ、奈良田へ下ったときに芦安へ戻るバスの本数が少ないので、その少ないバスの時間に下山時刻を合わせなければならないという制約が出てきます

3日目の下山で時間を気にかけながら歩かなければなりません

最終日に時間を気にしながら歩くというのはなんだか煩わしい

それならば奈良田に車を停めて広河原へバスで向かい、白峰三山を縦走して奈良田に下る

これなら最終日まで時間を気にせずにのんびりと歩けます

初日は奈良田からのバスの時間の都合上、登山の開始時刻が少しだけ遅くなるのが気になりますが、肩の小屋までならなんとか日没前には着けそうです

もしくは、逆回りで奈良田から大門沢を登って大門沢小屋に泊まり、翌日に北岳山荘か肩の小屋を目指す

ただ、これだと2日目の行動時間がなかなかシビアな感じ

それに、奈良田の標高は800mほどなので、登りの標高差がかなり大きくなりなかなか大変そうです

農鳥小屋も既に小屋閉めしている可能性が高く、いろいろとリスクが高め

 

このプランはなし

 

そんなわけで、奈良田に車を停めてバスで広河原まで移動し、あとは気ままに奈良田へ下るというルートに決定です

肩の小屋は予約もいらないし、大門沢小屋へは電話で問い合わせたところ、今週末まで営業しているとのこと

そしてテント泊の予約もいらないんだそう

気ままに歩けるちょうど良いプランが見つかりました

 

 

1日目

奈良田第一駐車場に到着🚗

停まっている車の台数は10台あるかないかくらい

そのうちの3台には準備をしている人の姿があります

奈良田から広河原へのバスは10月のこの時期は1日に2本のみ

8時台のものと15時台のものだけです

ここからバスに乗って広河原へ移動するということは、今奈良田にいる人たちはおそらく同じ行程を歩く人たちです

準備を済ませ、バスを待ちます

 

バス停はいづこ???

駐車場の近くにはバス停らしき看板は見当たりません

先に着いていた車の方々は全く移動する気配がありません

バスはこの駐車場までやってきてくれるんだろうか???

バスの出発時刻も刻々と近づいてきており、だんだ

ん心配になってきました

ここまで来てバスに乗れなかったら洒落になりません

空身で様子を見に行ってみると、どうやらバス停は少し離れたところにあるようです

急いで車に戻り荷物を持ってバス停へ向かいます

バスは奈良田が始発なので既に停車していました

運転手さんとは別にいた、切符を販売するバスガイドさん的な方からキップを購入します

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駐車場にいた人たちも皆(といっても3人ですが)やってきてバスに乗り込みました

 

バスは出発してしばらく走るとすぐに停車しました

停車したバス停、奈良田第二駐車場のバス停からも数人の登山者がバスに乗り込みます

このバスに居合わせたメンバーは皆、同じ周回コースを歩くようです

 

奈良田から広河原までの所要時間は約45分ほど

あわよくばその間はちょっぴり眠れるんじゃないか、

なんて考えていましたが、甘い考えでした

道路の舗装状態はお世辞にも綺麗といえる状態ではなく、バスもなかなか年季の入ったバス🚌

常時ガタンゴトンという大きな音とともにまあまあな振動がやってきます

当然、眠れるはずもありません

バスガイドさん的な方が何やらいろいろと周辺案内のアナウンスをしてくれていましたが、残念ながらその声もバスの振動音にかき消され、よく聞き取れませんでした

 

そんなこんなで約45分後にバスは広河原へと到着しました

この場所に来るのは実に8年ぶり

その頃はまだ北沢峠と広河原間のバスが走っていたので、仙流荘からバスに乗り北沢峠でバスを乗り換えて広河原までやってきました

 

懐かしい

 

というほど、当時の記憶はありません

広河原のインフォメーションセンターで登山届けを出しつつ、念のため稜線の状況も聞いておきます

稜線付近では1週間ほど前に降雪があったよう

その時の雪がまだ残っているのかどうかを係員の方に尋ねてみると、

雪はほとんど解けてしまっているのでチェーンスパイクも必要ない、との返答でした

一通り登山届けに目を通したあと、

特にこのルートなら問題ないよ

というお言葉をいただきました

その一言で安心して出発できます

 

同じバスに乗り合わせていた人達は既に登り始めているようで、インフォメーションセンターには私たちと下山してきた数人の人しか残っていませんでした

 

どうやら最後尾での出発のようです

後ろから急かされる心配もないのでペースはのんびりマイペース

あちこち見廻し、

あそこは覚えてる

とか、

こんなんだったかなー

とか、おぼろげな記憶を辿りながら進んでいきます

見覚えのある吊り橋を渡り、いよいよ本格的な登山道に入っていきます

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歩き始めはさすが百名山、といったよく整備された歩きやすい登山道です

木漏れ日が差し込む気持ちのいい森の中を登っていきます

 

午前中は標高の高いところでかなり強めに風が吹くという予報

その予報どおり上部ではゴーゴーと風の音が鳴り響いています

稜線に出る頃までにはこの風も収まってくれるはず、と信じながら、まずは目の前の登山道を登っていきます

 

しばらく歩くと前方にチラリと人影が見えましたが、その人影はすぐに見えなくなってしまいました

結局その後しばらくは前方にいる人には追いつくこともなく静かな山歩きが続きました

登山道が尾根の上を歩くようになってきたところで、とうとう前を歩いていた人達に追いついたようです

奈良田からの同じバスに乗り合わせた4人パーティの方々で、休憩をとっているところでした

軽く会釈をして先へと進みます

8年前に歩いた時よりも木段などは新しくなっており、とても整備が行き届いています

ただ木段の一段一段の段差は高めで、テント泊装備の荷物を背負った身にはなかなか堪えます

しばらく歩くと、傾斜は少し緩やかになり、登山道は斜面をトラバースするようにつけられています

記憶が正しければ、白根御池小屋が近いはずです

少し開けた場所からは鳳凰三山が綺麗に見えました

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登山道はほぼ平坦になり、石畳を敷いたような趣のある道を抜けると、とうとう白根御池小屋に到着しました

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時刻は12時を少し過ぎた頃

朝ごはんを食べるタイミングを逃してしまっていて朝から何も食べずにここまで登ってきてしまいました

完全にエネルギー不足💦

朝ごはん用に用意しておいたサンドイッチを食べて少し休憩をとることにします

おそらくここで休憩をとったら、次は肩の小屋まで腰を下ろしての休憩をとることはない気がしました

 

白根御池小屋ではほどほどの人数の登山者が休憩していました

腰を下ろすのにちょうどよさそうな大きめの石に腰掛けます

10月も半ばですが、降り注いでいる日差しはまだまだ暑い

サンドイッチを食べ、日焼け止めを塗り直し、水場で南アルプスの天然水を汲みます

相方さんはここの水場の水が美味しいとお気に入りです

しばしの休息をとり、再び登り始めます

 

 

前回北岳に登った時は、白根御池小屋から大樺沢二俣を経由して右俣コースを歩いて肩の小屋を目指しました

今回は、白根御池小屋を出発してからは、草すべりという急登の登山道を歩きます

白根御池を通り過ぎ少し進んだところの登山道脇にはフワフワの綿毛がついた植物がたくさんありました

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ドライフラワーのよう

すっかり秋の景色です

 

足元は浮石が多めであまり足場の良くない登山道が続きます

ゆっくりと一歩一歩登っていきます

30分ほど登って後ろを振り返ってみると、鳳凰三山の山並みが綺麗に見えました✨

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その後も急登はひたすら続きます

気付けば周りは歯が黄色くなりす始めたダケカンバに囲まれていました

白い幹に黄色くなった葉をつけたダケカンバが青空に映えます

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だんだんと背の高い木々も少なくなり、右俣ルートとの合流地点まで登ってきました

小太郎尾根の分岐点まではあと少し

今まで登ってきた疲労が少しずつ出始めてきたのか、それとも高度が上がってきたせいなのか、一歩踏み出す足がだんだんと重たくなってきました

見下ろせば眼下にはここまで歩いて来た道とダケカンバの黄葉

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とても素晴らしい眺めです

尾根まではもうあと少し

目指す尾根の向こう側には澄んだ色をした青空が広がっています

そういえばこのあたりは8年前もキツイと思いながら登っていたな

という記憶が甦ります

そしてやっぱり今回も変わりなくキツイ

ただ、前回は小屋泊の装備でキツかったけれど、今回はテント泊装備で挑んでいるという違いがあります

前回よりは多少成長しているのかな、

なんてことをと思っているうちに、とうとう小太郎尾根の分岐点まで登ってきました

ここまで登ると、もう背の高い木々はなくなり、遮るもののない素晴らしい眺望が広がっています

心配していた強風もすっかり弱まっており問題ありません

鳳凰三山甲斐駒ヶ岳仙丈ケ岳八ヶ岳、遠くには北アルプスの山並み、そして富士山も見えています

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ここから肩の小屋まではコースタイムで30分ほど

この日の行程ももうあと少しになりました

時刻は14時30分

どれだけゆっくり歩いても日没前には肩の小屋に着けそうです

天気もいいので、ここからはのんびりと景色を楽しみながら肩の小屋を目指すことにします

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肩の小屋までは緩やかな稜線歩き、というわけでもなく、ちょっとした岩場や鎖場もあります

3000m近い標高では、少し頑張るとすぐに息が上がってしまいます

あと30分、とはいったもののなかなかしんどい道のりが続きます

小太郎尾根の分岐点からちょうど30分程過ぎた15時ごろ

とうとう北岳肩の小屋に辿り着きました

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小屋前のベンチに荷物を下ろし、テントの受付をします

午前中より風が弱まったとはいえ、稜線上なのでまあまあの強さの風が吹き付けてきます

テントは小屋の東側のテント場に張ってください、という指定があったので指定された場所へ向かいます

いい感じの距離感で既に何張りかのテントが張られていました

トレックライズ2が張れそうな少し広めのスペースを探しますが、どこも若干狭め

他のテントとも程よく距離が取れ、なんとかギリギリ張れそうかな、というスペースを1カ所ありました

少し谷側に傾いた場所ですが、他の場所では狭くて張れそうにもないので仕方がありません

広いテントは快適ですが、こういう時には少し不便さを感じてしまいます

 

選んだ場所も実際にテントを張ってみるとやはりやや狭めでしたが、なんとか無事に張り終えました

テントからは鳳凰三山と富士山が眺められる絶好の場所です

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お天気がいいとはいえ、10月半ばの3000mの稜線

動いていなければ寒さを感じる気温です

日没までの間はテントの中でくつろぎます

晩御飯のカレーの準備をしつつ、日の入りを待ちます

 

前回もやったカレー作り

温めるだけ、ではなく煮込み風のカレー作り

鍋に人参やらジャガイモなどの具材と水を入れ沸騰させます

沸騰したら火を止め、用意しておいた新聞紙にくるみ、さらにビニール袋に入れてシュラフの中へ入れてしばらくの間放置します

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シュラフも温まり、具材もじんわりと煮えるという一石二鳥の保温調理

具材が柔らかくなるのを待ちながらのんびりと過ごします

 

17時を過ぎたころ、テントの外を覗いてみると富士山が薄ピンク色に染まり始めていました

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あわててカメラを持ってテントの外に飛び出します

ピンク色に染まりゆく富士山の時間はあっという間に終わってしまいました

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テント場から小屋の前まで移動すると、西の空では中央アルプスの向こう側に太陽が沈み始めていました

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空には少し筋状の雲が湧いています

そのまま太陽は中央アルプスの山々の奥に沈んでいきます

日の入りを見終えた人達が各自小屋やらテントに戻っていきます

少しだけ余韻を楽しんでいると、急にみるみる空が茜色に染まり始めました

薄暗かった空が急にオレンジ色へと変わっていきます

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小屋に戻りかけていた人たちも一斉に外に集まり始めました

筋状の雲が立体感を増し、なんとも言えない色へと変化していきます

みんな夢中で写真を撮っています

もちろん自分も同じ

ほんの5分ほどの出来事でしたが、こんなにも美しい夕焼けが見れたことに興奮冷めやりません

空はすっかり真っ暗になり、ひとつふたつと星が輝き始めていました

周りにいた人たちは再び小屋やテントに戻っていき、数人だけが残っていました

わたしたちもテントに戻ってカレー作りを再開することにします

テントに戻ると今度は東の空が明るい

さっき西の空で日の入りは終わったはずなので、この東の空の明るさはいったい何?

不思議に思いましたが、答えは月の出でした

月といえば黄色のイメージが強いですが、今、山から見ている月の出は日の出と同様に橙色をしています

しばらくして高度が上がると、月は見慣れた黄色の月になっていました

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シュラフの中で保温調理をしていたコッヘルを取り出します

野菜は割り箸がスルッと通るくらいに柔らかくなっていました

火が通りやすい残りの具材を入れて再び火にかけ、カレー粉を入れていきます

少し水が多かったせいか、出来上がりはスープカレーのような少しシャビシャビのカレーになりました

 


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戻したアルファ米にカレーをかけて出来上がり

見た目はイマイチでしたが味は美味しい

疲れていたらなんでも美味しく感じるからかもしれませんが💦

 

疲れた体にカレーがしみ渡ります

少し辛さもあって体もポカポカと温まってきました

少したくさん作りすぎてしまったようですが、明日も長丁場

明日も行動できるエネルギーを充分に補給してあとは眠るのみです

明日は北岳に登ってから、中白根、間ノ岳、西農鳥、農鳥の峰々の縦走が待っています

夜はそれほど冷え込むこともなく、寒さも感じずにぐっすりと眠ることができました💤