槍ヶ岳から南岳までの3000m峰が立ち並ぶ稜線
この稜線を一度は歩いてみたいと思っていたけれど、なかなかしっくりくるプランが思い浮かばない😅
ここを歩くのであれば、宿泊地にはまだ一度も泊まったことがない南岳小屋のテント場を利用したい
一泊2日でこの2つを満たすような理想的な行程
なんとかうまく歩けないものかとしばらく地図と睨めっこ
2日間ともたくさん歩くことにはなるけれど、一日目に新穂高を出発し、南岳新道を歩いて南岳小屋でテント泊
翌日に南岳、中岳、大喰岳の稜線を歩いて飛騨乗越から飛騨沢を下って新穂高へ戻る
このルートなら行きたいところを一泊2日でまわれそうです✨
このルートで一番のポイントになるのは1日目に歩く予定の南岳新道
どうやらなかなかの急登&ハードな登山道で手強いんだとか
少し不安でもありますが、怖いもの見たさというか、そんな手強いと言われるところに一度は足を踏み入れてみたいという好奇心の方が勝りました
テント泊装備で歩くともなると、なかなか大変な行程になることは予想されますが、そこはなんとか気合で乗り切ることにします💨
スタート地点の新穂高から槍平小屋までは約4時間ほど
槍平小屋から南岳小屋までも約4時間ほど
テント泊装備ということも考慮すると、歩行時間は9時間〜10時間ほどになりそうです
出来るだけ朝早く出発できれば時間に余裕を持てそうです
が、結局、新穂高の登山センターを出発できたのは7時少し前😅
平日にも関わらず、新穂高の登山者用の駐車場はほぼ満車に近い状態
あともう少し到着が遅ければ、危うく車を停められなかったかも、というところです💦
新穂高登山センターで登山届けを提出し、右俣林道へと進んでいきます
こちらを歩くのは今回で2回目
何となく見覚えのある道を歩いていきます🚶♂️
今回は槍平小屋についてから先、南岳新道の急登に備えて出来るだけ体力を温存しておきたいので、槍平小屋までは焦らずゆっくりと進んで行きます
林道の終点近くまで来ると笠ヶ岳が綺麗に見えました
堰堤の下を抜け樹林の登山道に入っていきます
槍平小屋までは急登もなく、かなり緩やかに標高を上げていきます
群発生地震や昨年の地震の影響なのか、登山道には落石らしき大岩がいくつか見られました
しばらく秋晴れのいいお天気が続いていたためか、下山してくる登山者の方とのすれ違いがかなり多くありました
それほど道幅が広くないので、うまく譲り合いをしなければなりません
滝谷避難小屋を過ぎると、ゴロゴロとした沢の奥に大きな滝と滝谷ドームが見えます
今日中にあのくらいの標高まで上がるのか、と思うと先はまだまだ長そうです💦
朝はひんやりと肌寒いくらいでしたが、すっかり気温も上がり汗ばむほどの陽気になっています
記憶が正しければ、木道歩きになれば槍平小屋まではもうあと少しのはず
涼しげな沢の上に架けられた木道を歩いた先に槍平小屋が見えてきました
ここまでで約四時間半
コースタイム的にはようやく行程の約半分です
槍平小屋で水を補給し、少し休憩をとることにします
時刻は11時過ぎ
ちょうど太陽が真上に昇っており日陰はないので、ジリジリと照りつける日差しのなか、少し体を休めます
見上げてみると、今から歩く南岳新道のある西尾根が見えました
いやはや、見るからに急登💦
どこに登山道がつけられているのだろう、と目を凝らして眺めてみましたが、全くわかりません😱
槍平小屋の標高は約2000m
ここから南岳小屋までは約1000mの標高差をこれから登り上げることになります
槍平小屋まではゆっくりと歩いてきたはずですが、夏のような暑さに思ったより体力を奪われてしまったようです
いざ南岳新道を前にすると、登りきれるかどうか少し不安になってきました
ここからが今回の核心部
あまり休憩に時間を使っても仕方がないので、ゆっくりと南岳新道を登っていくことにします
小屋前の木製デッキの横をすり抜け、南岳新道へ足を踏み入れます
序盤は笹が生い茂った、少し湿っぽい感じの普通の登山道が続きます
特別に急なところもなく至って普通の登山道
急登が始まる、と身構えていたせいか、ごく普通の登山道に少し拍子抜けしてしまいました
10分ほど笹の生い茂る樹林帯を歩くとゴーロ帯に出ました
南沢のようです
ゴロゴロとした岩が積み重なる沢を少し登り、右手の樹林帯へとトラバースしていきます
ここまでもまださほど急登というわけではありません
トラバースを終え、樹林帯に入ります
ここから本気の南岳新道が始まりました😱
樹林帯を登り始めてすぐ、木道が設置されていました
この木道、なぜだか谷側に傾いています
木道は湿っており、その手前は若干の泥濘
靴底に付いた泥と濡れた木道が相まってびっくりするほど滑ります😱
いきなりの難路
靴底の泥を出来るだけ落とし、何とか傾いた木道の上を渡りきります
その後も泥濘の急登が続きます
急登といっても、登山道の傾斜が急とか、階段上に急とか、いろいろありますが、南岳新道の急は段差の大きなところが続く急登です
設置された木段は朽ち果てているものが多く、不安定な足場を両手を駆使しながら登っていきます
ちょっと不安定なスチール製の梯子や鎖場も何度か通過していきます
道幅も狭く、すれ違いとなればなかなか大変そうですが、そんな心配は無用といった感じで他の登山者の姿は1人も見当たりません😅
お昼を過ぎると周囲はすっかり真っ白なガスに覆われてしまいました
まわりの景色も見えず、いったいどのくらいまで登ってきたのかは分かりません
ただ、目の前の急登はまだまだ終わる気配を見せてくれないので、ひたすら登っていくのみです
ようやく頭上が少し開け明るくなり、尾根の上らしいところに出ました
休憩出来そうなちょっとしたスペースがあったので、しばし休憩をとることにします
少しだけガスが晴れた瞬間、前方に登山者の姿が見えました
南岳新道に入ってからここまで、誰にも会いませんでしたが、ようやくここを歩く登山者を見つけました
どうやら同じ登りの方のようです
自分たちの他にもここを登っている人がいたんだ、と妙な安心感のようなものを覚え、少し元気が出てきました
短い休憩をとり、再び登り始めます
尾根に出たので、少しは歩きやすい登山道に変わるかな♪
なんて期待してみましたが、そんな期待はあえなく打ち砕かれ急登っぷりは変わらず続きます
泥濘がなくなった代わりに、今度はガレ場の急登です
途中、一度だけルートをロストしかけましたが、すぐに正規のルートに復帰しました
尾根道をしばらく歩くと、ようやく少し傾斜も緩んできました
行く先にカール地形が見えます
登山道はこの先、尾根から一旦カール内に降りるようです
カールをトラバースするようにつけられた登山道に行くために、垂直につけられた鉄製の梯子を使ってカールに降り立ちます
久しぶりのフラット歩き😁
ガスで景色が見られないのは残念ですが、晴れていたらそれはそれで暑さとの戦いになりそうなので良しとします
カールをトラバースし、分岐の標識らしきものがある場所までやってきました
ここから先、登山道はカール内をジグザグに登っていくようです
歩くとカラカラと高い音が鳴る石の上を歩いていきます
しばらく登ると、登山道は再び右手にトラバースするようにつけられており、再び尾根の上に乗ります
ここから南岳小屋まではもうあと少し
登山道の傾斜もだいぶ緩み、ようやく周りの景色に目を向ける余裕も出てきました
チングルマの綿毛やヤマハハコなど、秋を感じさせる雰囲気になってきました
急登も終わり目的地のある稜線までは本当にあと少し
とうとう南岳小屋が見えました✨
テント場を通過し、テントの受付を済ませるためにまずは南岳小屋へと向かいます
無事に今宵の宿泊地に到着です✨
後はテントを設営して、思う存分くつろぐのみ😁
長く続いた急登と暑さで喉はカラカラに渇いています
小屋で購入したパイン味のCCレモンが身に沁みます
テント場に張られているテントは10張りに満たないほどの数
テント場の地面はフラットで張りやすそうです😁
風除けがあり他のテントと程よく距離を保てる場所に決め、テントを張ります
日の入りの時刻は18時過ぎ
小屋の奥にある高台で日の入りを見ようと皆さん集まり始めています
ついさっきまでは真っ白なガスに包まれていたのに、気づけば北穂やら槍ヶ岳やら周りの山々が姿を現していました⛰
空は茜色に染まり、周りの山々も次々とピンク色に染まっていきます
もう、本当に綺麗✨
頑張って登って良かった
と、心から思わせてくれる景色です
刻々と変わって行く空の色は本当に綺麗すぎて、しばらくの間余韻に浸っていました
久しぶりのテント泊
こんなにも綺麗な夕日が見られて、なんだか幸せな気持ちになりました