9月に取った三連休
今年はどこのエリアも紅葉の色付きが遅いんだとか
お天気が良ければ南アルプスを縦走したいな、なんて思っていましたが、天気予報を見るとどこもあまり芳しくない予報
北アルプスに行ったとして、初日〜2日目にかけては雨
南アルプスは3日目の天候がイマイチ
三連休の前日、天気予報とひたすら睨めっこを続けましたが、3日間とも天気がもってくれて、テント泊しながら歩けるちょうど良いところが見つかりません
3日間というのは諦めて、なんとか天気が持ちそうな2日間を使って、一泊2日で歩けそうなプランを考えてみることにします
できればまだ一度も登ったことがない山での一泊2日
試練と憧れ
険しい岩陵帯を歩くよりも雄大な稜線を歩く方が好きなので、なんだかんだで後回しになっていた剱岳
もしこの山に登るとすれば、早月尾根から登りたいな
と、漠然と考えていました
前回、南岳新道の急登をテント泊で登りきれたことだし
それならば、次は早月尾根からの剱岳に挑戦してみてもいいんじゃないかな、と
そんなわけで、とうとう剱岳に挑戦してみることになりました
初日の行程は早月小屋まで
一日目の天気はそれほど良くなさそうなので、短めの行程です
2日目は剱岳に登頂して馬場島まで下山するという予定で歩くことにします
登山口の馬場島から早月小屋までのコースタイムは5時間半ほど
テント場には14時頃までに着ければいいかな、
ということで、朝の出発はそれほど早くなくても大丈夫そうです
8時過ぎ、馬場島の駐車場までやってきました
馬場島まで来る道中はずっと雨が降っていましたが、馬場島に着く頃には小雨になり、しばらくすると止みました
天気予報にバラつきはあったものの、お昼前くらいから天気は快方に向かう予報なので、急がずのんびりと出発の準備をします
こんなお天気だからなのか、8時を過ぎても駐車場はガラガラです
早月尾根は剱岳を日帰りで登る人も多いようなので、時間的に考えても、この日に馬場島から登る人はほとんどいないようです
続々とやってくる車は、馬場島の駐車場を通り過ぎてその奥へと進んでいきました
どの車も工事関係者の車輌ばかりです
結局、準備を終えるまでの間に他の登山者のがやってくることはありませんでした
雨上がりの山間の道をまずは登山口まで歩きます
山には濃い霧がかかり、上部までは見えません
写真でよく目にする、試練と憧れの石碑の目の前までやってきました
いよいよ早月尾根に挑戦です
果たしてこのあと、どんな試練がどれほど待ち受けているんだろうか
少し緊張しながら早月尾根へと足を踏み入れます
早月尾根の入り口はトランスジャパンアルプスレースの映像でもお決まりの場所
なるほど、ここがあの場所なのか、と思いながら登っていきます
序盤はよく整備された階段状になった道
これがなかなかの急登
テント泊の荷物を背負っていることもあり、序盤から脚にきます
登り始めてすぐに汗が吹き出してきました💦
馬場島は標高750mと三桁スタート
9月末の標高1000mに満たない場所はまだまだ暑さが残ります
先程まで雨が降っていたということもあり、樹林帯の湿度は高く蒸し暑い
序盤から汗だくになりながら登っていきます
1時間ほど登ったところで、再びパラパラと小雨が降り出してきました☔️
だんだんと快方に向かうという天気予報とは裏腹に、空には低い雲が垂れこめ、明るくなる気配はありません
一時的に雨が残るのかな、と思いながら登っていましたが一向に止む気配はありません
むしろ、時間を追うごとにだんだんと雨脚が強まってきています
かなりの蒸し暑さで、レインウェアを着るのが憚られるほど汗をかいていましたが、降ってくる雨もそこそこの強さになってきたので、上下ともレインウェアを着ることにします
気付けば、あたりは真っ白なガスに包まれて、周りの景色は何も見えません
早月尾根という名前の通り、尾根沿いの登山道を雨の中ひたすら登っていきます
途中には立山杉と思われる立派な杉の木がいくつも立ち並んでいました
雨と霧で視界も悪いなか、この立山杉だけは圧倒的な存在感を放っています
登山道はその杉の木の根っこの部分を階段のようにして登るようにように続いていきます
まったく周りの景色が見えないので、いったいどれくらいまで登ってきたのかというのが把握しづらいですが、200m毎のポイントに標高を記した標柱が設置されているので、その数字が増えていっていることで、確実に標高は上がってきているということはわかります
途中、下山してきた2人組のパーティーとのすれ違いがあっただけでその他は誰にも会いません
気づけば雨は本降りになっていました
快方に向かうという予報はどこへやら、雨は全く上がる気配もなくなってしまい、ザーザーと音を立てて降り続けています
途中で立ち止まって休憩するのも躊躇われるほどの本降りの雨☔️☔️☔️
朝から何も食べていなかったので、少しでも雨が避けられそうな大木の下にザックを下ろし、ササッと朝ごはんを食べることにします
予想外の久しぶりの雨の日の登山
雨とガスの中、標高2200mにある早月小屋を目指して、目の前にある急登をただひたすら登っていくという、まさに試練がやってきています
3時間ほど登り続けてきましたが、まだまだ樹林の急登は続きます
救われるのは、登山道はよく整備されており危険なところがないということ
登れども登れども白い霧に包まれ続け変わり映えのしない登山道にだんだんと飽きてきてしまい、10分がとても長い時間のように感じられます
標高2000mを記した標識を見つけると、少しだけ元気が出てきました
目指す早月小屋までは残りあと200mほど
低山ひとつ分、と思うと気持ちが少し楽になります
少し傾斜が緩んできたところで目の前に池塘が現れました
眺望のないここまでの登山道で、この日1番の景色に出会えました
ガスに包まれているのがまた幻想的な雰囲気を醸し出しています
そこからさらに先へと進むと、鉄製の梯子が何箇所かに架けられています
雨で濡れた梯子を握るたびに、手がビショビショになり雫がしたたり落ちてきます
その度に手についた水分を払い落としながら進んでいきます
もうそろそろ小屋に着かないかな
そう思いながら歩いていると、急に目の前が開けた高台のような場所に出ました
そこから少し下ったところに赤色の屋根の建物が見えます
どうやら、ようやく早月小屋に着いたようです
本降りだった雨も気付けば小雨程度になっています
ここまで来ればこの日の行程も間もなく終わりです
6時間程歩くことは今までに何度もありましたが、今回はとても長く感じました
高台の周辺は、今日歩いてきた中でも紅葉の色付きが一番進んでおり、今日一番の景色です🍁
小屋はすぐそばなので、少し紅葉の景色を楽しんでから早月小屋へと向かうことにします
まずは早月小屋でテントの受付を済ませます
しばらく止んでいた雨がまたパラパラと降り出してきました
相方さんがテントの受付をしてくれましたが、小屋の方からは
こんな雨の中、テント泊装備でよく登ってきましたね
と、ねぎらいの言葉をいただいたようです
確かにテント場を見渡してみると、テントは1張りもありません
小屋の中にも登山客がいる気配がありません
こんな雨の中に登ってくるのは私たちだけのようです
少し雨が弱まっているうちに手早くテントを張ってしまいます
着ていたレインウエアを脱ぐと、レインウェアの中までずぶ濡れになっていました
雨が入ったのか汗なのか分かりませんが、着ていたもののほとんど、インナーまでもビショビショです
標高2200mともなるとそれなりに気温は低くなっています
濡れた衣類にだんだんと体が冷やされてきました
急いで乾いたものへと着替えます
体の冷えも落ち着き、何とか暖かさを取り戻しました
テントの外では、雨が降ったりやんだりと一向に天候が回復する兆しがありません
濡れた衣類を乾かしたいものの、雨が止まないことには外にも出せません
他にやることもないので、テントの中で何とか少しでも乾かす方法がないものだろうかと考えてみますが、いい方法は全く思い浮かびませんでした
テントを叩く雨音が静かになったのでテントの外に出てみると、雨は止んだものの、辺りは濃い霧に包まれています
この状況では濡れた衣類を外に出して干してみたとしても、まったく乾く気がしません
風でも吹いていればまだ望みもありますが、残念ながらまったくの無風です
せめてトレッキングパンツだけでも少し乾かないかな、
と振ってみたり仰いでみたりしてみましたが、むしろ、まわりの湿気を含んでより湿った感じになってしまいました
あれやあこれやと試していると、テント泊とみられるソロの登山者がやってきました
私たちの他にもこんな天気の日に登ってくる稀有な人がいた、とちょっと嬉しくなりました
結局、時間がたっても一向に濃いガスが晴れることはなかったので、のんびりと夕食作りを始めることにします
今回はレトルトでもフリーズドライでもないカレー作りに挑戦してみよう
と思い、いろいろと方法を考えてきました
じゃがいもは事前にカットしたものを持ってきています
ゴロゴロとした具のカレーが食べたかったのでカットのサイズは大きめ
まずは水とじゃがいもを一緒に入れて沸騰させます
沸騰したら火を止めて、持参した新聞紙で包みます
何かのはずみでこぼれたとしても大丈夫なように、ビニール袋に入れてシュラフでくるみます
このまましばらくの間、保温調理を試みてみます
このまま具材が柔らかくなっていれば、保温調理は成功
しばらく放置した後、新聞紙を広げて中身を確認してみると、じゃがいもは箸がスルリと通るほどに柔らかくなっていました
大成功🍴
あとは、火が通りやすいツナ、ソーセージを入れて、野菜ペーストとカレー粉を入れて再沸騰させていきます
少しだけ煮込んで、調理はすべて終了
見た目はおいしそうなカレーに見えますが、果たして味は美味しく出来上がっているんでしょうか?
お湯で戻したアルファ米に出来上がったカレーをかけて食べてみます
美味しい❗️
器がないので見た目はちょっとイマイチですが、味はなかなかの味に仕上がりました
お腹も満たされて体も温まりました
あとは明日に備えて眠るだけ
外の様子はどんな感じかと覗いてみると、濃く立ち込めていたガスはすっかり晴れ、空には星も見えるようになっていました
明日は好天が期待できそうです🌟