ブルっと体に震えを感じて目を覚まします
時計を見ると時刻は深夜3時
足先が冷たいとか手が冷たいとか、そういった寒さを感じているわけではありません
何だか体の芯の部分が冷えている感じというか
眠る前に用意していた、ペットボトルにお湯を入れた簡易湯たんぽに手を当ててみるものの、温度は人肌以下までに冷めていて温かさはありません
この日は5時に起きて行動を始める予定
まだ2時間近く時間があります
しばらくシュラフの中でうずくまって体が温まるのを待ってみるものの、やっぱりどこか寒さを感じます
隣で寝ている相方さんも寒いのか、やたら寝返りをうっています
朝までのあと2時間ほどを快適に過ごすべく、再び湯たんぽを温めることにします
シュラフから半身抜け出し、ジェットボイルでお湯を沸かします
ジェットボイルに少しだけ残っていた水は完全に凍りついていました
テント内の結露は完全に凍りついているようでヘッドライトの明かりでキラキラと輝いています
テント内に置いていた水も半分くらい凍ってしまっています
なるほど寒いわけです
再び温かくなったペットボトル湯たんぽ
ふたつのうちのひとつは相方さんに渡します
熱いお湯を入れた500mlペットボトル
これひとつをシュラフに入れるだけで快適さが全然違います
無事に体も温まり、あと2時間あまり、快適に過ごすことができそうです
夜の間は耳鳴りがしているんじゃないかと思うほどの静寂に包まれていました
そんな夜もそろそろ終わりを迎え、小屋の発電機の音が鳴り響き始めました
なかなかシュラフから出られませんでしたが、意を決して起き上がり準備を始めます
実はこの日の朝まで、2日目以降の行程をどうするのか決めかねていました
相方さんがチェーンスパイクを忘れてきたとのこと😱
聖平小屋へ向かうのには標高2800mを通過する稜線歩きがあります
樹林帯ではなく、岩場もある模様
雪がどれほど残っているのか、凍結しているのかもわかりません
天気がいいとはいえ気温は低いのでチェーンスパイクなしで向かうのは少し心許ない
リスクを考えると、今回は聖平小屋を周るのはやめておいた方が良さそうです
そうなると一泊2日でこのまま易老渡へ下るか、、、
茶臼小屋までは行けそうなので茶臼小屋に泊まるか、、、
地図と睨めっこして考えてみましたが、結局朝になっても決まりませんでした
2日目に茶臼小屋に泊まり、3日目に来た道を戻っめ易老渡へ下るというのでも良さそうですが、茶臼小屋の水場が使えるのかどうかがわかりません
茶臼小屋に泊まるのであれば、静高平の水場で水を用意していくのが確実なようです
ただ、その静高平の水場もこの冷え込みにより止まってしまっている可能性があるようです
水場で水の補給ができなければ選択肢はひとつ、下山するしかありません
全ては水次第💧
ということで、水が出ていれば茶臼小屋に泊まっていこうという感じの流れで考えが一旦まとまりました
まずはこの日の朝一番に光岳に登るという行程に変わりないので、準備を進めます
日の出の時刻は5時50分頃
テント越しに外が明るくなってきたのがわかります☀️
テントの外に出てみると東側の空が赤くなっていました
もう間もなく日の出の時間のようです
太陽は富士山の右側から出てきました
昨日の悪天はどこへやら、雲ひとつない快晴のお天気となりました
上河内岳や聖岳にも陽の光が当たり始めます
とても静かな日の出
昨日から不思議に思っていましたが、小屋にはおそらく10人くらいの登山客が宿泊しているはずなのに日の入りのときも日の出のときも、それを見に来る人がほとんどいないのです👀
昨日の夕焼けも今日の日の出も、なかなか素晴らしい瞬間だったのにもったいないな、
なんてことを思ったりもしましたが、山の楽しみ方は人それぞれ
テントの片付けも終わり、カメラバックに必要なものだけを入れて空身で光岳山頂へと向かいます
朝陽に照らされる光小屋と富士山
うーん、素晴らしい眺め✨
緩やかに登っていく登山道を10分ほど歩くと光岳山頂に着きました
山頂の眺望はないということでしたが、西側は少しだけひらけていました
少し離れたところに展望地があり、そこからは西側の山々が見渡せました
次は光石へと向かいます
光石方面へ少し進むと下の方にそれらしき大岩が見えてきました
短い急な降りの登山道を歩き終えた先にゴツゴツとした大きな光石が現れました
なかなかの大きさです
少し脆そうな岩質ですが、上に登れそうだったので登ってみることにします
光石の上からは西側の山々、御嶽山や中央アルプス、しらびそ高原や奥茶臼山の稜線が綺麗に見渡せました
この光石は夕陽に照らされて輝いて見えるということなので、朝の時間帯は日陰になり少し薄暗い感じです
昨日の夕方に来ていたら、夕日に照らされて輝く光石が見れていたのかも、なんて思ってみたりもしましたが、昨日のガスガスのお天気から考えると望みは薄かったのかも
そんなことを考えて歩いているうちに光小屋方面へと戻ってきました
時刻は7時過ぎ
小屋前の温度計を覗いてみると気温はマイナス1度を指し示しています
陽射しの暖かさで寒さはそれほど感じません
出発前に腹ごしらえ、ということで持ってきたランチパックでお腹を満たします
食べてみると、ツナマヨ部分には若干シャリシャリとした食感があります
夜の間の冷え込みにより、少し凍ってしまっていたようです
キンキンに冷やされたランチパックを食べ終え、小屋を後にします
まずは昨日は立ち寄らなかったイザルガ岳へ
前日は水墨画のようなモノクロの世界だった景色も、今日は太陽の光で色鮮やか✨
陽射しを反射した雪がキラキラと輝いているのが綺麗です✨
足元に目をやると、鳥の羽根のような形をした霜が至る所に見られました
すぐにイザルガ岳の分岐にやってきました
ここでザックを下ろし、必要な物だけを持ってイザルガ岳へ向かうことにします
分岐からイザルガ岳の山頂までは10分ほど
ハイマツの間に縫うようにつけられた登山道を登っていきます
山頂は360度の大展望
富士山、御嶽山、中央アルプス、北アルプス、南アルプスの山々が見渡せる素晴らしい展望です
空気が澄んでいるのか、遠くの山々まで本当に綺麗に見えました
遠くにはキラキラと輝く駿河湾も見えます
後ろを振り返ると、つい先ほどまでいた光小屋と光岳も見えます
雲一つない青空に光岳が映えます
しばしの間イザルガ岳山頂からの景色を堪能し、次は静高平へと向かいます
昨日も通った場所を歩いているわけですが、天気が違うだけでまるで違った雰囲気です
心配していた静高平の水場ですが、昨日と同じようにサラサラと水が流れていました
そんなわけで、この後の行程は茶臼小屋に泊まる方向で歩くことになりした
空いた容器に水を満タンに補給して、易老岳を目指して歩きます
と、実はここで残りの水の量を勘違いしていたことに後々気付き、またも悩むことになるとはこの時は全く思っていませんでした
三吉平を過ぎ、易老岳までの登り返し
保温ボトルの飲み物を飲もうと手に取りましたが、なんと、思っていたよりもボトルの中の飲み物が少ない
というか、ほとんどありません😱
保温ボトルの中には8割くらい飲み物が残っていると思っていましたが、まさかの思い違い
そしてもう一本、飲みかけのペットボトルの残量も思っていたより少ない😱
相方さんの持っている水の量と自分の持っている水の量で翌日の下山まで足りるかどうかをシュミレーションしてみましたがちょっと怪しい💦
茶臼小屋の水場が使えれば問題ありませんが、使えなければかなりカツカツの水分量です
易老岳までの間、何度も頭の中で水の配分を計算をしながら歩きます
足りるような、足りないような、、、
そうこう考えているうちにとうとう易老岳分岐に着いてしまいました
とりあえず前日は見つけられなかった易老岳のピークを無事に踏みます
ここが茶臼小屋に進むか易老渡へ降りるかの分岐点
これからの予定をどうしたものかと再び悩み始めます
ちょうど茶臼岳方面から歩いてきた登山者の方がいたので、茶臼小屋の水場の様子について尋ねてみましたが、茶臼小屋には寄っていないからわからないとのこと
いたずらに時間だけが過ぎていきます
悩みに悩んだ結果
茶臼小屋の水場が使えなくても持っている水の量でなんとか足りるんじゃないか
という結論に至り、茶臼岳方面へと向かうことにします🚶♂️
易老岳から先、茶臼岳方面へは程よいアップダウンを繰り返しながらの稜線歩きです
登山道はいかにも南アルプスらしい雰囲気の森の中へと続いていきます
天気予報通り、お天気は快晴☀️
乾燥しているせいか口の中がカラカラに渇きます
飲み物を飲むたびに、悶々と水のことを考えてしまいます
茶臼岳方面へ40分程進んだところで立ち止まり、もう一度相方さんとこの先の行程を相談
茶臼小屋に行くと決めたものの、常に水のことが頭から離れず登山が全然楽しめていません
こんな状況で茶臼小屋まで歩いても何だかもったいないよね、と
今ならまだ、引き返したとしても日没前には易老渡へ降りて芝沢ゲートまで戻れる時間
楽しめないのは良くない、戻ろう💨
くるりと向きを変え、一路来た道を戻ります
少し開けた場所からは、光岳、イザルガ岳、そして易老岳が綺麗に見えました✨
先程まではそんな風に景色を楽しむ余裕なんてなかったんだと気付かされます
分岐からはそれほど歩いていないと思っていましたが、易老岳が意外と遠くに見えます😅
まずは易老岳を目指して来た道を戻っていきます
易老岳からは大部分が下りだったので、戻るのには当然登り返しになります
帰るとなれば、必要な分以外の水を早く捨ててしまえばよかったものを、なぜだか易老岳までは捨てずに持ち歩いていました
易老岳に着き、水場で補給した分の水、約1,2リットルとサヨナラします
あとは易老渡までをひたすら降るのみ
時間はちょうどお昼過ぎ
腹ごしらえをしてから降り始めることにします
幾分か軽くなったザックを再び背負い、前日登ってきた尾根を降っていきます
唯一の危険箇所らしい、足場の狭い岩場のトラバースを終えたらあとはひたすら降っていくのみ
2000mより下の標高では浮石も多くなり、何度か浮石で足を滑らせます💦
前日はガスに包まれて景色も楽しめず、急登に喘ぎながら登った道
それとは打って変わり、今日は木漏れ日が差し込む癒しの森歩き
面平から下、標高1400mあたりからは木々の黄葉も見頃
木の葉がそよ風に揺られてサワサワと優しい音を立てていました
今のペースなら易老渡には16時には降りれそうなので、少しペースを落として南アルプスの森を満喫していくことにします
杉や檜のような植林の森ではなく、広葉樹の森
気持ちの良い癒しの森歩き、
と言いたいところですが、足下はザレ場の急下降💦
気を抜けば浮石やらどんぐりやら落ち葉やらに足を取られかねません
足元に気をつけながら標高を下げていきます
だんだんと沢の流れる音が大きく聞こえるようになってきました
下を見ると、易老渡の赤い橋と車道らしきものが木々の間から見えてきました
16時前
無事に易老渡に到着です
ここからは林道歩き
特に危険なところもなく、ひたすら林道を1時間ほど歩くのみです
日もだいぶ傾きかけ、少し肌寒さを感じるようになってきました
さすがに疲れが出てきたのか、ザックの重みで肩に痛みを感じるようになってきました😱
あたりはだんだんと暗くなり始め、景色を眺める楽しみもなくなり、そして単調な林道歩きでは特に考えることもないので自然と肩の痛みに神経が集中してしまいます
痛みをこらえながら歩き、ようやく芝沢ゲートが見えました✨
17時少し前
ヘッドライトを使うことなく真っ暗になる前に無事にゴールです🚗
駐車場の車は、ほぼほぼ入れ替わっていましました
ザックを下ろしたときの肩の開放感といったら♪
靴を履き替え、ザックを車に仕舞い込んでいるうちにあたりはすっかり真っ暗になってしまいました
山歩きは無事に終わりましたが、ここから麓まではまだ油断ならない林道の運転があります
次の日の予定はないので、焦らずゆっくりと帰っていきました