chiritannyaaの日記

山に登ったときに思ったことを書き連ねる日記

3月19日 将棋頭山

八ヶ岳天狗岳に登りたい

 

2月からずっとそう思っているものの

うっかり寝坊してしまったり

渋の湯までの道が工事通行止めだったり

急に冬型の天気になって道路状況が悪化したり

 

と、なかなか行けない状況が続いている今日この頃

今度こそ八ヶ岳に行こう!

と思っていた今回も、またまた前々日くらいにまとまった雪が降ったようで、相方さんの使い込まれたスタッドレスタイヤでは一抹の不安が残る道路状況

天気はとてもいい予報

週末〜来週にかけてのしばらくの間は天気がぐずつくようなので、このいいお天気のうちにどこか雪山には登りに行きたい

 

こんなときやっぱり一番最初に頭に浮かんでくる山は、将棋頭山

距離も長いし、標高差もある

全然楽じゃないのは目に見えてわかっている

絶対にキツイし大変

それがわかっていても登りたくなる山、将棋頭山

この時期に稜線から眺める景色は絶対に素晴らしいはず

そして、今度こそ将棋頭山でライチョウに会いたい

前日は日曜日ということで何人かの人が登っており、トレースもしっかりできている模様

あとは自分の体力が持つかどうか

今の時期は冬季ゲートからのスタート

無雪期よりも歩く距離は長くなります

冬靴であの長い距離を歩ききれるのかどうか

こればかりは行ってみないとわかりません

 

そんなこんなで、ダメな時は途中で引き返すことも考えながら、敗退と登頂50%ずつくらいの確率かな、という感じで将棋頭山に登ることにしました

 

6時半過ぎ

冬季ゲート前までやってくると、4、5台ほどの車が停まっています

将棋頭山にしては平日にこの車の台数は思いのほか多い🚗🚗🚗

お天気も好天の予報とあれば登る人が多いようです

今日のなかではきっと最後尾スタートなんだろうな、

なんてことを思いながら準備を済ませます

準備をしている間に、他の車が来ることはありませんでした

予想通り、最後尾でのスタートのようです

 

まずは無雪期に車で入れる桂木場の登山口まで2キロほどのロード歩き

冬季ゲートの標高は1050m、桂木場の標高は1270mなので、この時期は無雪期に比べて距離+2km、標高+200m多く歩くことになります

 

このロードが地味に長い💦

 

前回ここを通ったのは去年の5月

その時はテント泊装備を背負ってでの登山だったのでめちゃくちゃしんどかった💦

今回は日帰りなのでその時よりは荷物もだいぶ軽い

とはいっても、3月に標高2700mまで登るにはまだまだしっかりした雪山装備が必須です

アイゼンやらピッケル、防寒具などを詰め込んだ荷物はそこそこの重量になります

前回は残雪期だったので登山靴は3シーズン用のものを使用しましたが、今回は雪上を歩く区間も長いので冬靴で歩きます

重い冬靴を履いての舗装道路歩きは全くスピードが上がりません

今年の春は暖かくなるのが早いということでしたが、この日のスタート時の気温は7時でマイナス1度

ここ最近ではまあまあの冷え込みです

しばらく歩くと行く手の道路上には雪が残っている場所があり、表面はカチカチに凍り付いていました

前日に解けて流れた雪解け水がスケートリンクのようにツルツルに凍っています

まだ滑り止めは何もつけていないので、スリップしないように注意しながら歩きます

 

冬季ゲートから30分ほど歩いて、ようやく桂小場の登山口に到着しました

時刻は7時30分

夏のコースタイムであれば桂小場から将棋頭山までは4時間半ほど

一昨日に降雪があったことでかなり早いうちから雪の上を歩くことになりそうです

13時頃までに山頂に着ければいいかな、

くらいの感じで桂小場を出発していきます

 

桂木場をスタートしてからは、しばらくは緩やかな登りが続きます

ここを通るのは今回で5回目

5回目ともなるとだいたいの登山道の感じはつかめているので、なんとなく登り方もわかってきます

途中にある大樽小屋までは距離は長いですが急登もなく緩やかな道

そこまではあまり体力を使わないように登りたいのでゆっくりと登っていきます

大樽小屋を過ぎてからは胸突八丁と呼ばれる急登が続きます

そこに備えて出来るだけ体力を温存しておきたいという考えです

この日はいい意味で程よく脱力した感じ

気合いが入りすぎて張り切ってしまうと、ついついオーバーペースになりがちで後半に体力が尽きてしまうので、長い距離を歩くときは、この脱力したくらいの感じがちょうどいい😁

 

少し進むと、早くも登山道上に雪が出てきました

前日もいいお天気だったためか、一度表面が解けた後に再凍結しており、ツルツルと滑りやすい

右側は谷になっており滑って落ちたくはない感じの場所です💦

まだ早いかな、

とも思いましたが、安全第一ということでチェーンスパイクを履きます

ブドウの泉の水場を過ぎると、登山道は日当たりのいい場所になったため雪は解けてしまってほとんどなくなってしまいました

ついさっき履いたばかりのチェーンスパイク

外そうか少し迷いましたが、この先また登山道の方角が変われば雪が出てくるはずなので、そのまま履きっぱなしで進むことにします

しばらく歩くと、予想通り、すぐにまた雪が出てきました

日陰はパリパリに凍っていてチェーンスパイクがよく効きます

進むにつれてだんだんと雪の量が増えてきました

桂小場から1時間半ほど歩いて、野田場という場所を過ぎたあたりからは完全に雪景色です

気温の上昇とともに、木の上に積もっていた雪があちらこちらでドサドサっと落ちてきています

この辺りの木々の背は高いので、運悪く落ちてきた雪が直撃でもすればなかなかの大惨事になりそうです😱

頭上からの落雪に気をつけながら先へと足を進めていきます

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だんだんと積雪量も増し、チェーンスパイクが効いているのかどうかもわからなくなってきました

馬返しを過ぎたあたりからは、今までよりは少しだけ傾斜がキツくなります

標高も2000m近くまで上がってきたので、足元の雪質は今までとは異なり、サラサラとした雪質です

踏んでもあまり固まらないような雪のようですが、チェーンスパイクにはもっさりとくっつき、靴底は船底のようになっています

もはやチェーンスパイクを履いている意味がありません

ストックで一時的に靴底についた雪を落としてもすぐにまた同じように雪がくっついてしまいます

非常に登りにくい💦

ここですぐにチェーンスパイクを外せば良かったものを

もうすぐで大樽小屋のはずだから、そこで外そう、

なんて考えたもんだから、しばらくはこの靴底についた雪との悪戦苦闘を強いられることに

結局、大樽小屋の50mほど手前で

これはもうムリ😱

ということになってチェーンスパイクを外しましたが、素直にもっと早く外していれば良かったな、

と今は思います😅

 

何はともあれ、まずは無事に大樽小屋まで登りました

大樽小屋直前で少し体力を使ってしまいましたが、まだそれほど疲れている感じはありません

ここから先は急登が続くので、ここで少し休憩をとることにします

小屋の前は風もなく日差しの暖かさもあって、ポカポカ陽気です

去年の5月に来た時のほうが寒かった

どんよりとした曇り空に風も吹いており、止まっているとどんどん体が冷やされていきました

それに比べると、やっぱり今年は暖かい

 

30分ほど休憩した後、ここから先の急登に備えて12本爪アイゼンを装着します

次は稜線を目指して、再び歩き始めます

小屋から先は日陰になっているためか、降雪から2日経っていても雪はサラサラの状態のままです

降り積もった雪は30センチほど

トレース上は多少歩きやすくなってはいますが、アイゼンがよく効く雪とは言い難い感じです

信大ルートの分岐を過ぎると、いよいよ本格的に傾斜が増してきます

ここから稜線に出るまでは、ひたすら樹林の中を登ります

特徴のない同じような景色が延々と続く登り

唯一の目印になりそうなのは7合目付近にある津嶋神社というところ

確か大岩のすぐ側にお社がある場所です

胸突き八丁を登り始めてから約1時間、ようやく津嶋神社まで登ってきました

この辺りで標高は2400メートルを越えたくらい

稜線までは標高にしてあと150mほどのはずですが、なかなか稜線が見えてきません💦

少し傾斜が緩んだ場所まで登れば、稜線はすぐそこのはずですが、まだまだ急登の直登は続きます

 

長い😱

やっぱり長い😱

 

わかっていたけれど、このあたりが1番キツい

まだかまだかと上を見るものの、目の前には樹林帯が広がり開けた空はまだやってこない

だんだんと足取りも重たくなりかけた頃、ようやく少し傾斜が緩み、斜面をトラバースするようにトレースの向きが変わりました

ここまで来れば稜線まではもうひといき

長い樹林帯歩きからようやく解放され、少し気持ちも軽くなります

ここからは一路稜線を目指して歩きます

前が開け、目に飛び込んできた景色に

思わず

わぁー、

と感嘆の声が出ました

将棋頭山へと続く真っ白な稜線ととうとうご対面できました✨


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すばらしい景色✨

綺麗な雪の上には動物の足跡のみ🐾

 

稜線に出る最後の斜面に取りつきます

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なかなかの急な斜面ですが、先行者のおかげでステップができているので登りやすい

 

ようやく待ちに待った稜線に出ました😁

やっぱり長かったしキツかった💦

でも、それを忘れてしまうくらい、

本当に素晴らしい景色が目の前に広がっています
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絶景✨

 

目の前には木曽駒ケ岳雄大な姿

2日前に降った真っ白な雪で覆われた山々が本当に美しい

将棋頭山へと続く稜線も素晴らしい

期待していた以上の絶景です✨


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反対側には御嶽山も綺麗に見えます
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本当にどこを見ても絶景ばかり✨

稜線に出てからは全然先へ進めません

そういえば、稜線に出る前までは、ここの稜線は絶対に風が強く吹くから稜線に出る直前には装備を整えておかないといけないな、

と考えていたのに、すっかりとそのことを忘れてしまっていました

それもそのはず

この日の将棋頭山の稜線は奇跡的なくらい風がありません

なので、全く寒さも感じませんでした

こんなことは本当に珍しい

いつも稜線に出た瞬間から西側からの強風が吹き付けてくるのに、今回は風もなくポカポカ陽気です☀️

そんなわけで、山頂へも急ぐことなくのんびりと稜線を歩いていけます
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将棋頭山から駒ケ岳へと続く稜線を見ると、稜線上には3人ほどの人影が見えました

一組は駒ケ岳へと向かっています

ソロの方はこちらへ向かって歩いているようでした

この時期に駒ケ岳まで往復している猛者の方々のようです
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この日はほぼ無風でしたが、やはりこの稜線は風が強く吹くのか、至るところにシュカブラが見られました
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風も巻いているのか、不思議な感じに雪が吹き溜まっています

自然の造形美✨

美しいです

 

稜線に出てからも将棋頭山の山頂まではまだまだ登りが続きます

5回目ともなれば、目の前に見えているピークが偽ピークだということも分かっているので気持ちに余裕を持って歩けます
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まずは一つ目の小さなピークを越えます
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そのピークの向こう側に偽ピーク

稜線に出てから山頂までは意外と距離があるような気がします

この辺りでソロの男性とすれ違い

少しだけお話をします

ちょうど今は誰も山頂にいないので貸切です、

最高ですよ、と
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早く山頂に着きたいと思うものの、さすがにこの辺りまで登ってくると、足に疲れも出始めて足取りも重たくなってきます

思うようにサクサクとは進めません

休み休み前へと進んで行きます

左手を見ると八ヶ岳の峰々が綺麗に見えます

絶景に励まされながら、山頂を目指して登っていきます


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偽ピークを登りきったその先に見えるのが将棋頭山の山頂です

ここまで来ると、南アルプスの眺めが本当に素晴らしい✨
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偽ピークからは緩やかに登っていくと、とうとう将棋頭山に登頂です

 

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期待以上の圧巻の眺め✨

最高です✨

振り返れば北アルプスの山々もずらりと見えます


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南アルプス
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御嶽山
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甲斐駒ヶ岳から仙丈ケ岳、秋に登った北岳間ノ岳農鳥岳まで、本当に綺麗に見えます
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荒川岳赤石岳聖岳までも、南アルプスの山々が一望できます

そして、よくよく見てみると、農鳥岳の奥には富士山までも見えています

本当に素晴らしい

そして登った山々を別の山から見るのもやっぱり楽しい

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槍ヶ岳の岩峰もはっきりと見えました

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伊那前、宝剣、中岳f:id:chiritannyaa:20230413152040j:image

 

ここからの眺めは360度、本当に素晴らしいのひとことです✨

 

時刻は13時

だいたい予定した通りの時間です

貸切の山頂で30分ほどのんびりと過ごすことにします

八ヶ岳に行こうと思ていたけれど、今日はここに来たのが正解だな、

と思えるほどの絶景と達成感✨

 

本当に眺めが素晴らしすぎて下山するのが名残惜しいですが、下山にもそこそこの時間がかかるのでゆっくりと来た道を戻り始めます
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何とかライチョウさんに会えないものかと、稜線上では辺りを見回しながら歩きましたが、見つけられたのはライチョウさんの足跡のみ

今回もライチョウさんには会えずでした

唯一、それだけが心残りです

また、雪が解けた頃に登りに来ようかな、

と、もう次に来ることを考えながら稜線から樹林帯へと下っていきます

 

1日快晴だったこともあり、馬返しから先はかなり雪解けが進んでいました

降れば降るほど春本番の陽気に近づいていきます


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長い長い下山路を降りきり、無事に桂小場までやってきました

時刻は17時

ここから駐車場までは舗装路をあと30分ほど

最後、疲れた足にこのアスファルトの硬さがなかなか堪えます

無事に駐車場に着くと、停まっていた車もすっかりいなくなっていました

日も長くなってきたので18時近くになってもまだ空は明るい

秋のように真っ暗になる心配もなく、のんびりと山を満喫できました

 

もう少し雪が解けたころに次は木曽駒ケ岳まで歩こうかな♪